2017年は、旧暦では閏月(うるうづき)のある年にあたります。
では2017年のいつ閏月はやってくるのでしょうか?
今使用されている旧暦は、江戸時代後期に、暦の基準が時間で区切る方法(平気法)から太陽の通る道、黄道の黄径角度で二十四節気を区切る方法(定気法)に変更されました。天保暦(てんぽうごよみ)といいます。
360度を24で割った15度で、天球上の太陽の道筋黄道と地球の赤道が交わった春分を基点として二十四節気を進みます。
出典:暦はエレガントな科学
旧暦としては、一番新しいの太陰太陽暦が天保暦です。
この天保暦によると、2017年の閏月は、皐月(五月)の次に閏五月としてやってきます。
目次
閏月(うるうづき)の決め方は?
出典:月と農業―中南米農民の有機農法と暮らしの技術
旧暦(太陰太陽暦)は、新月(朔)の日を、一カ月の始まり1日(朔日)としています。
新月の時を「朔(さく)」
満月の時を「望(ぼう)」といいます。
新月から次の新月までの、月の満ち欠け(朔望)の周期が約29.53日です。実際の旧暦カレンダーとしては、1カ月29日の小の月と30日の大の月として使われます。
月名と二十四節気の基本形
1カ月の中に、二十四節気の2つが入ります。
月の始めを「節気」とし、後半を「中気」としています。
例えば、旧暦1月、睦月(むつき)の節気は「立春」、中気が「雨水」です。
2月の節気は「啓蟄」で、中気が「春分」・・・
下図はそれぞれの月名に当てはまる二十四節気です。
◆月名と二十四節気の一覧
月名 | 節気 | 中気 |
一月 | 立春 | 雨水 |
二月 | 啓蟄 | 春分 |
三月 | 清明 | 穀雨 |
四月 | 立夏 | 小満 |
五月 | 芒種 | 夏至 |
六月 | 小暑 | 大暑 |
七月 | 立秋 | 処暑 |
八月 | 白露 | 秋分 |
九月 | 寒露 | 霜降 |
十月 | 立冬 | 小雪 |
十一月 | 大雪 | 冬至 |
十二月 | 小寒 | 大寒 |
図1-二十四節気一覧
平気法の閏月の決め方
平気法の二十四節気は、節気と節気の間は同じ時間で均等に分割する考え方です。
中気と中気の間隔は、約365.24日÷12=約30.44日となります。月の周期が約29.53日
月の満ち欠けの周期より、二十四節気の中気と中気の期間のほうが長いために、中気と中気のあいだに新月(朔)が2回ある月も現れます。
すると、節(せつ)はあっても中気のない月ができることがあり、中気のある月が月名となるはずが、月名を決定する中気がない月ができてしまいます。
「月名は、『朔』と次の『朔』の間にある『中気』で決まる」という旧暦の決め事があります。中気のない「節気だけの1カ月」になる時に、前の月の閏月となります。2017年の場合は「閏五月」です。

閏月は、約3~2年に1回、19年に7回あります。
計算で示すと、
19年の旧暦月数は、(1年)12月×19年+7月(閏月)=235月
朔望月(新月から次の新月まで): 29.530589日
29.530589日×235月=6939.688415日
1太陽年 : 365.242194日
365.242194日×19年=6939.601686日
上記の計算式で見るように、19年に7回の閏月を入れるとお月様の周期と太陽の周期がほぼ同じになります。
西洋ではギリシャのメトンという数学者が導きだし、メトン周期といわれています。
不思議と同じ考え方が中国でも考え出されていて章法といいます。
昔の人にとって気候や暦を示すことは、現代よりもより深刻で大切なものであったことがうかがい知れます。
2017年の閏月を考えてみる
皐月 | 2017 | 五月 | 閏皐月 | 2017 | 閏五月 |
旧暦 | 新暦 | 二十四節気 | 旧暦 | 新暦 | 二十四節気 |
1日/朔 | 5/26 | 1日/朔 | 6/24 | ||
2日 | 5/27 | 2日 | 6/25 | ||
3日 | 5/28 | 3日 | 6/26 | ||
4日 | 5/29 | 4日 | 6/27 | ||
5日 | 5/30 | 5日 | 6/28 | ||
6日 | 5/31 | 6日 | 6/29 | ||
7日/上弦 | 6/1 | 7日/上弦 | 6/30 | ||
8日 | 6/2 | 8日 | 7/1 | ||
9日 | 6/3 | 9日 | 7/2 | ||
10日 | 6/4 | 10日 | 7/3 | ||
11日 | 6/5 | 芒種/五月節気 | 11日 | 7/4 | |
12日 | 6/6 | 12日 | 7/5 | ||
13日 | 6/7 | 13日 | 7/6 | ||
14日 | 6/8 | 14日 | 7/7 | 小暑/六月節気 | |
15日 /望 | 6/9 | 15日 | 7/8 | ||
16日 | 6/10 | 16日 /望 | 7/9 | ||
17日 | 6/11 | 17日 | 7/10 | ||
18日 | 6/12 | 18日 | 7/11 | ||
19日 | 6/13 | 19日 | 7/12 | ||
20日 | 6/14 | 20日 | 7/13 | ||
21日 | 6/15 | 21日 | 7/14 | ||
22日 | 6/16 | 22日 | 7/15 | ||
23日 /下弦 | 6/17 | 23日 | 7/16 | ||
24日 | 6/18 | 24日 /下弦 | 7/17 | ||
25日 | 6/19 | 25日 | 7/18 | ||
26日 | 6/20 | 26日 | 7/19 | ||
27日 | 6/21 | 夏至/五月中気 | 27日 | 7/20 | |
28日 二十八夜 |
6/22 | 28日 二十八夜 |
7/21 | ||
29日 晦日 |
6/23 | 29日 晦日 |
7/22 |
図2-2017年閏五月
水無月 | 2017 | 六月 |
旧暦 | 新暦 | 二十四節気 |
1日/朔 | 7/23 | 大暑 / 六月中気 |
図3-2017年六月
2017年旧暦の閏月は、五月皐月にやってきます。
図2-2017年の皐月と閏五月にもあるように、皐月・五月には二十四節気の五月の「節と中」である「芒種/五月節気」と「夏至/五月中気」がしっかりと入っています。
旧暦の決まりとして、それぞれの「月の中気の名前」が入っている月に、月名が決まります。
2017年の五月には、「五月の中気」である「夏至(げし)」が入っていいるので文句なしに5月と決定します。
問題は次の月、新暦の6/24~7/22の期間です。
旧暦の1カ月は、月の満ち欠け、新月から次の新月までが1ヶ月となります。閏五月の朔望(月の満ち欠け)は29日間です。
この29日間の中には、水無月(旧暦六月)の節、小暑/六月節気のみの存在となり、六月の中気「大暑」が入ってきません。
月名を決めるのは、中気があることが決まりですから、小暑/六月節気のみでは月名がきめられないのです。
そういう時は、前の月の閏月(うるうづき)となります。
閏五月または閏皐月となります。
次の日、新暦7月24日に、「六月の中気・大暑」がきて、旧暦六月・水無月が成立します(図3-2017年六月)
閏月考:平気法と定気法の違い
平気法は1年の日数365日を12カ月で割ってほぼ均等なので、中気を含まない月を必ず閏月とします。しかし、角度で分割する定気法だと、中気と中気の間が角度では等しくても、日数的には必ずしも等しくはなりません。
例えば冬至の頃は、地球が太陽の周りをまわる公転が太陽に近く、移動速度が速くなります。
逆に夏至の頃は、太陽との距離が長くなり、移動速度が遅くなります。
真円を回るのならよいのですが、実際は楕円で太陽の周りをまわっているので、どうしてもすべての二十四の節気間の時間(日数)が同じになることはありません。
平気法ではすべての中気が太陰太陽暦における月と対応し、中気を含まない月を必ず閏月とするが、定気法を採用するとこの対応関係は崩れる。節気間の日数が不均等なためひと月の中に中気が2回含まれることがあり、その分中気を含まない月が多くなる。
ウキペディアより
平気法と定気法の閏月設定の違いというよりは、定気法は節気間の日数が安定せず、閏月を決めるのが難しくなる場合もあるということです。
つまり
季節のあてはめ方としては定気法の方が精度が高いけれども、月暦の設定には日数が平均せず、閏月を決めるのが難しくなるケースも現れるということです。
閏月素朴な疑問

閏月を英語でいうと?
閏月の読み方:うるうづき、じゅんげつ
英語では、”Intercalary month”
これは中国語の閏月を英語に訳したものです。
使い方例文
a month including intercalary days
閏日を含んでいる月「19年周期に閏月は7回訪れる。」
An intercalary month is added on seven occasions during a 19-year period.
閏月の意味は?
閏(うるう)にあたる月。陰暦で、12か月のほかに付け加える月とあります。
では、「うるう 閏の意味」はどういうものでしょうか?
うるう【閏】 の意味
平年よりも日数や月数が多いこと。地球の公転や季節と暦とのずれを調整するためのもの。太陽暦では1年を365日とするが、地球の公転(1太陽年)は365日5時間48分46秒なので、その端数を4年ごとに2月?(にがつ)?を29日として調節する。太陰暦では1年が約354日なので、適当な割合で1年を13か月とする。「―2月29日」「―4月」
出典:デジタル大辞泉
うるう、漢字【閏】を使用する言葉としては
うるうづき【閏月】
うるうび 【閏日】
うるうどし【閏年】
うるうびょう【閏秒】
うるうじかん【閏時間
うるうづき【閏月】
閏にあたる月。陰暦で、12か月のほかに付け加える月。うるうどし【閏年】
閏のある年。太陽暦では、2月を29日とし1年を366日とする年。太陰暦では、閏月のある年。うるうび【閏日】
太陽暦の2月29日のこと。4年に一度だけある。
閏日(うるうび)は、4年に一度の私たちのなじみのある2月29日
閏年(うるうどし)は、閏日がある年の事
閏月(うるうづき)は、旧暦で1年が13カ月となる、プラス1カ月
と暦の上では、実際の生活にもなじんでいたり、聞いたりしている事柄です。
しかし「閏秒」や「閏時間」は、個人的には全く知りませんでした。

うるう秒や閏時間について
あまり聞いたり知っている人は少ないと思います。
しかし、私たちの知らないところでこんな調整がされていました。
地球の自転は、1回地球が自転すると1日24時間だと単純に思っていたがそうではないらしい。
地球の自転は、季節風や海流の流れ、大地震などが起こると自転がふらつき、1日の長さにゆらぎが生じるそうだ。
それで絶対的な時間を定めるために、大雑把に言えば、うるうびょう【閏秒】やうるうじかん【閏時間】を足したり引いたりして調整するのだそうです。
今現在使用されているのは、うるう秒で調整する方法です。
しかし閏秒での調整は、ソフトウェアが不具合を起こす要因にもなるらしく、閏時間にしてはどうかという提案が上がっているのだそう。
うるうびょう【閏秒】
天体観測をもとにした平均太陽時(世界時)と、原子時計ではかった国際原子時とのずれを調整するために加えたり引いたりされる1秒。→協定世界時うるうじかん【閏時間】
平均太陽時(世界時)と、原子時計ではかった国際原子時とのずれを調整するために加えたり引いたりされる1時間。現在使用されている閏秒(うるうびょう)に代わり、1時間にまとまったところで調整しようというもので、ITU(国際電気通信連合)が提案している。
閏月まとめ
旧暦の太陰太陽暦では、季節の調整のために閏月があって、1年に13ヶ月あることは知っていました。
しかしどのようにして決められているかは、全く知りませんでした。
今回調べてみて、平均した時間で二十四節気がある方が、なじみやすい気がしました。
それにしても1年に一カ月も増えるのは、何とも奇妙な気がします。
のんびりした時間がが流れています。
こういうことがスローライフなんだろうなと、今回改めて感じました。
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